停留精巣(停留睾丸)による男性不妊

一般に子どもの病気として知られる「停留精巣(停留睾丸)」は、男性不妊の原因になることがあると言われています。停留精巣の方や過去に停留精巣の手術を受けた男性が妊活に際して知っておきたいことをご紹介します。

停留精巣(停留睾丸)とは

停留精巣とは、陰嚢の中に精巣(睾丸)がおさまっていない状態のことです。
男性の精巣はまだ生まれる前の胎児期にはお腹の中にあって、成長と共に徐々に鼠蹊部、陰嚢へと下降していきます。そして一般的には陰嚢の中に精巣がおさめられた状態で生まれてきます。ただ発育には個人差があり、例え新生児の時にまだ精巣が降りてきていなくても、生後6ヶ月までは自然下降が期待できると考えて経過を観察します。6ヶ月を超えても陰嚢内に精巣を確認できなかった場合は手術が必要です。精巣を触知できるか否かによって手術法が検討されます。
停留精巣の多くは乳児検診で発見されます。そのため、きちんと乳児検診を受けており、なおかつ他に健康上の問題がない限りは、ほとんどのケースにおいて小児期に手術が行われていることでしょう。
なお、停留精巣は先天性疾患の中でも比較的頻度の高い疾患です。出生男児100人に3人、1歳になった頃には100人に1人の割合で見られると言われます。

放置により男性不妊のリスクが高まる

胎児期に精巣が腹部から陰嚢へと下降する理由、それは将来精巣が精子を作り出すようになった際に体温より1~2度低い温度環境が必要だからです。男性の陰嚢が体からぶら下がるようについているのはまさに精巣のため、体温よりもやや低い、涼しい環境をキープするためと言えるでしょう。
ところが、停留精巣では精巣が陰嚢に降りてきておらず、鼠蹊部や腹部に位置します。そのため陰嚢内に精巣がある場合に比べて2~3度高い温度環境にさらされることとなり、熱に弱い精巣はダメージを受けて精子の形成にも障害を生じるようになります。長く放置すれば当然、乏精子症や無精子症といった男性不妊になる可能性が高くなるため、早めの手術が必要です。
停留精巣はひと昔前までは4~6歳くらいまでに手術を行うことが推奨されていました。しかし早い段階で精巣の萎縮が始まる恐れがあることから、現在は1歳前後での手術が推奨されており、早ければ早いほど精巣への影響が少ないと考えられています。
また、停留精巣と似た症状に、精巣が陰嚢と鼠蹊部あるいはお腹を行ったり来たりする「移動性精巣(遊走精巣)」がありますが、これも精巣が上部に移動している時間が長いような高度なケースでは、男性不妊のリスクを考えて早めの治療を行います。

成人してからの妊孕生について

停留精巣に関して妊活中のご夫婦からよく聞くお悩みとしては「成人してからの妊孕性(妊娠能力)」が挙げられます。基本的に、停留精巣では将来の精子形成能力の低下を防ぐため小児期に早めの手術を行います。ただきちんと手術を受けたとしても不妊の可能性は残り、片側の停留精巣では10~30%、両側の停留精巣では50%前後の高率という報告があります。ただ、片側性の場合は正常な男性とほぼ変わらないという見解や、手術のタイミングが早ければ男性不妊のリスクも低くなるということもあり、現在のところ医学的にはっきりとした数字は提示されていません。

停留精巣の影響を調べるには精液検査を

基本的に停留精巣による精巣、精子への影響は精液検査でしか分かりません。停留睾丸の手術をしたことがあるという方は不安に感じているのであればクリニックできちんと調べてもらうようにしましょう。近年の不妊治療の発展には目覚ましいものがあります。精子が1匹でも見つかれば顕微授精により妊娠の希望を持てる時代です。また、射出精液中に精子が確認できなくても、精巣から精子になる一歩手前の精子細胞を取り出して顕微授精にのぞむことも可能です。不妊率が高いと言われる両側性停留精巣の方でも、治療により子どもを授かる可能性はあります。まずは精液検査で精子の状態を調べて、専門医と相談しながら必要な治療を選択しましょう。

停留精巣による精巣癌のリスクについて

停留精巣による影響としては男性不妊に加えて、精巣がんが挙げられます。正常な場合の3~14倍の発生率と言われており、これは手術をしても発生率が下がるかどうかよく分かっていません。ただ、手術で精巣を陰嚢に降ろしておくことにより、触診で早期に発見しやすくなるなるため、きちんと手術を受けておくことは非常に大切です。精巣がんは早期に発見すれば約90%は根治すると言われています。

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