クラインフェルター症候群による男性不妊

男性不妊の原因のひとつに「クラインフェルター症候群」という病気があります。一般的にはあまり聞きなれない病名ですが、男性の約1000人に1人という割合で発症し、精子を作る精巣機能に問題を生じることからほぼ男性不妊につながります。ですから男性不妊の原因としては特別珍しい病気ではありません。

クラインフェルター症候群とはどのような病気なのでしょうか。原因や治療法などについてご紹介します。

クラインフェルター症候群は先天性疾患

クラインフェルター症候群は男性だけに起こる、先天性の性染色体異常が原因の病気です。
男女の性別を決定する性染色体にはX染色体とY染色体の2種類があり、通常、男性の性染色体はXY、女性はXXとなっています。そして命の始まり、つまり受精の際に、精子細胞はX精子とY極体(もしくはY精子とX極体)、卵子細胞はX卵とX極体に分裂し、 X卵とX精子が結びつけばXXの性染色体となって女の子が、 X卵とY精子が結びつけばXYの性染色体となって男の子が誕生するのです。ところが稀に、何らかの原因によって分裂がうまくいかず、XX卵やXY精子が生まれてくることがあります。これらが受精すると、XXYやXXX、さらにはXXXYの性染色体を持った子どもが誕生し、そのうちYの性染色体が含まれている場合は男性であるものの余分なX染色体を持った男性として誕生するのです。このような男性が2つ以上のX染色体を持った状態をクラインフェルター症候群と呼びます。
前述の通り、クラインフェルター症候群の男性はX染色体を多く持っているため男性ホルモンの分泌量が少なく、体毛が薄かったり男性器の発達が未熟だったり、乳房が女性のように膨らんだりすることがあります。また、高身長・痩せ型・細長い手足といった身体的特徴が現れやすいと言われますが、実際にはこれらの体格に当てはまらないケースも多く、特別な自覚症状もないために子どもの頃に気づかれることはあまりありません。

不妊をきっかけに気づくことが大半

クラインフェルター症候群は多くの場合、不妊がきっかけで病院を訪れた際に発見されます。検査では精子数が少ない、精子が1匹もいない、男性ホルモン量が少ないといった症状が見つかり、最終的には染色体検査を受けることによって判断されます。染色体検査は採血するだけと非常に簡単です。
なお、クラインフェルター症候群は性行為自体にも問題はなく、男性器の発達が未熟といえどそもそも個人差があるため、よほど身体的特徴があったり他の病気を併発している場合を除いては、染色体検査を受けない限り気づくことはないでしょう。

生殖補助医療により妊娠可能なケースも

クラインフェルター症候群では、残念ながら自然妊娠は難しいと言われています。そのため子どもを希望する場合は不妊治療が必要です。
クラインフェルター症候群の中でもXXYやXXXYの染色体に加えて正常なXY染色体を有している場合は、精液中にわずかながら精子が射出されていることがあります。この場合、射出精子を用いて顕微授精をおこなうことができるでしょう。一方、正常なXY染色体を全く有していない場合は、精巣を切開し、精子が回収できれば同様に顕微授精をおこなうことが可能です。
近年、クラインフェルター症候群においてTESE(精巣内精子回収術)による精子回収率は好成績が報告されています。実際、妊娠・出産まで至った方もたくさんいらっしゃいますので、ぜひ前向きに治療に取り組みましょう。

生まれてくる子に遺伝することは少ない

クラインフェルター症候群の方がよく心配されることの一つとして「もし子どもを授かったとしてもその子どもにクラインフェルター症候群が遺伝してしまうのではないか」という点が挙げられます。これについては医師の中でも多少意見が分かれるようですが、ほぼ遺伝しない、遺伝する確率は非常に低いとする意見が大半です。気がかりなことがあればむやみに不安がらず、担当医に相談してみましょう。

クラインフェルター症候群の合併症とは

クラインフェルター症候群は、不妊症だけでなく、様々な病気を併発しやすいと言われています。男性ホルモン量が少ないことによる甲状腺の病気や乳がんのほか、骨粗しょう症や糖尿病などが挙げられます。また、幼少の頃から虚弱体質だったり気管支が弱かったりといった特徴も指摘されています。
男性ホルモンの欠乏から起こる病気は男性ホルモン補充療法によってある程度改善、予防することが可能です。ただ、乳がんや糖尿病といった病気は食生活や生活習慣とも関係しているため、健康的なライフスタイルを心掛けつつ、定期的な検査・医師への相談をおこなうようにしましょう。

根治治療はないため症状に合わせた治療を

クラインフェルター症候群は染色体異常による病気であり、根治治療は存在しません。ですから、治療法としてはあらわれている症状に対して治療をおこなう「対症療法」が基本となります。
様々な病気を発症するリスクが高い以上、体調をきちんと管理すること、そして医師に気軽に相談できる環境を持つことが大切です。また、不妊症という問題についてはご夫婦共に病気についてよく理解し、治療法を選ぶことも必要でしょう。

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